東京を離れる

春先に向けて、今、引っ越しを考えている。

そもそも、昨年秋に銀次郎(愛猫)が「ペットの飼育禁止」である自宅に来て以来、常に新居への引っ越しを考えていたのだけれど、年末を境にいろいろ予定が崩れてしまい、にっちもさっちもいかないまま、未だに漠然と早稲田に留まり続けている状況、なのである。

とはいえ猫は日に日に成長していくし、動き回る足音も数か月前とは比べものにならないぐらい大きくなっていく。しかも、身体の成長に比例するかのように鳴き声も次第に高くなっていくから、ペット禁止マンションに住む者としてはかなり肩身が狭い。できることなら、いち早くこのマンションを出たい…ところなのだが、問題は次に住む場所である。

願わくば、小さい頃からの夢だった目白台のヴィンテージマンション(谷崎潤一郎がノイローゼ気味の瀬戸内寂聴に弁当の差し入れをしたマンションだ)。でも、ペット可の物件はなさそうだから、やはり同じ時期に作られた春日の古いマンション(かつて安井かずみや加賀まりこが住んでいた、芸能人のたまり場だった場所)にするべきか。ただ、窓が北東についていて日当たりが悪そうなのと、室内に洗濯機が置けないのが少々痛い。ならば、いっそ東に離れて、浜町の川のほとりで歴史と対峙しながら、自分の原稿に集中するのも悪くない…けど、いい物件が全然見当たらない。

そんな風にして、毎晩の入稿後のささやかな時間を使って物件サイトとにらめっこをしているのだが、その挙句、そうか、すべてをゼロにしてしまって東京から離れてしまうのもいいかもしれないと考えるようになった。これまでにはない、新しい発想である。

都内との距離を考えるなら、生活のしやすい横浜あたりか。でも、山と海の両方が楽しい逗子あたりも捨てがたい。鎌倉あたりは…やっぱり、パス。生活環境は抜群だけど、四方八方が神社仏閣なのは、なんか怖い。

迷いに迷った挙句、重要なのは運気だろ!ということで、風水サイトを巡ってみるも、引っ越しの時期によって南北真逆の方向が出るから、全然あてにならず。これじゃ決め手も糞もない。

かつて熱狂した霊幻道士の道士様は、毎日の行動をすべて風水に照らし合わせて決定していたけど、あれでよく日常生活を送れてたよな、と今さら感心する。…いや、違う。逆だ。実際、毎度極悪キョンシーに絡まれて、大騒動に発展するわけだし。

どこに行けばいいのかなんて指針はないし、行ったところで何が起こるかわからないし、迷えば迷うほどバカを見るというのが世の中の常というもの。腹をくくれば前に進めるものですよと言い聞かせて、自分で自分の背中を押してみるも、刹那焦って、その場に立ち往生していたりする。目も当てられないほどの気の弱さに、我ながら辟易する想い…。

と、ここまで考えたところで、何よりも重要なのは引っ越しの資金だという事実に気づき、サッとネットのページをシャットアウト。

…現実に戻って、もう少し仕事をします。

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